聖路加国際大学公衆衛生大学院様
郵便番号しかないデータから調査情報を効率的に関連付けし、
多様なデータ解析が可能に。扱いやすさと価格もポイントでした。
- GEOSPACE 郵便番号界ポリゴン
聖路加国際大学公衆衛生大学院様 GEOSPACE 郵便番号界ポリゴンを用いて調査対象者の住所とその地域の気象データを関連付け。気象の変化が健康に影響を与える影響についての研究に役立てています。
論文「Weather and Health Symptoms」において、「健康日記」の調査対象者と気象データにより気温や湿度の変化が健康に与える影響を分析した聖路加国際大学公衆衛生大学院様。GEOSPACE 郵便番号界ポリゴンを用いたことで、調査に必要な「対象者の住所と気象データの紐付け」を効率的に行うことが可能になりました。他の調査での有効活用にも、期待をお寄せいただいています。
(左から)
准教授 環境科学分野 李 美彗さま
准教授 疫学分野 大手 幸子さま
大学について
公衆衛生分野の高度専門職業人を養成
医療・保健分野における高度な専門知識の修得および国内外の諸問題をグローバルスタンダードに照らし合わせて解決する能力の育成により、社会における人間の健康と幸福の保持・増進に寄与する公衆衛生分野の高度専門職業人を養成することを目的とします。科学的なエビデンスが明確な医療を目指します。
導入前の課題
郵便番号しかないデータでどのように調査情報を得るか
本研究では、調査対象者の住所とその地域の気象データを関連付ける必要があります。 「健康日記」調査のため、外部の調査会社に調査を委託し、調査対象者4,500名のデータが得られましたが、住所・氏名などの個人情報までは入手できませんでした。
調査対象者の住所が不明なままでは、調査対象者の住まいとその地域の気象データによる症状とを関連付けることができず、研究を進めることができません。ですが、幸いなことに調査対象者の住まいの郵便番号を入手することができました。 調査対象者の住まいを特定するデータが郵便番号しかないという現状から、どうやって郵便番号と「場所」「エリア」などをひもづけるかが課題でした。
「GEOSPACE」製品選定のポイント
扱いやすいデータと購入しやすい価格
郵便番号と郵便番号界をひもづけるためのデータを以下の条件で探すことにしました。
- GISで利用可能なこと。
- 研究費の範囲で、実現可能な金額であること。
- 扱いやすいデータ形式・内容であること。
さまざまなGIS用データを扱っている(一財)日本地図センターに問い合わせたところ、いくつか候補を挙げていただきました。
その中から今回はアカデミーパックの価格設定があり、日本全国の範囲で購入しやすい価格となっていた「GEOSPACE 郵便番号界ポリゴン」を選択することにしました。
「GEOSPACE 郵便番号界ポリゴン」を利用して研究を行った結果、
- 気温が1℃上昇すると、1.87% 症状・事象が増える
- 湿度が1ポイント上がると、1.38% 症状・事象が増える
ことが統計的に有意と認められました。
導入の効果
郵便番号情報を元に様々なデータ解析が可能
外部の調査会社に調査を委託した場合、調査対象者の個人情報が含まれるため、調査会社から得られる情報は多くありません。それでも今回は調査対象者の居住エリアを特定することが可能な郵便番号を入手できました。 本研究では、郵便番号情報と症状をマッピングし、分析を行いました。その結果、20の症状が気象データと密接に関わっていることが判明しました。
他の調査でも「GEOSPACE 郵便番号界ポリゴン」を活用することは可能でしょう。 予防検診センターが持つ病状データやPM2.5・骨粗しょう症・癌・生活習慣病、および子どもの脳の発達についても、気象データと組み合わせることで様々な分析をすること考えられ、今後是非とも研究を実施したい分野でもあります。
環境疫学は今後も成長分野と考えられますが、現在は研究者が少なく、なかなか研究が進んでいない状況です。多くの方に興味を持っていただき、さらに環境疫学が発展していくよう期待しています。